生産性分析の展開

事業には、資本集約型産業と労働集約型産業とがあります。資産集約型産業とは、機械や設備などの資産が多く、その資産が主となって売上を稼ぎ出す事業をいいます。資本集約型産業には、鉄道、半導体、エネルギー産業などがあります。労働集約型産業とは、人的労働が主となって売上を稼ぎ出す事業をいいます。労働集約型産業には、介護、飲食店、宿泊業などのサービス産業があります。

生産性分析をする場合、資本集約型産業と労働集約型産業とでは、分析の手順を変える場合があります。

  • 資本集約型産業では、資産がどれだけの付加価値を生み出したのかを中心に分析します。
  • 労働集約型産業では、従業員がどれだけの付加価値を生み出したのかを中心に分析します。

しかし、分析するのは、生産性を構成する5つの要素(利ざや率や資産装備率など)であることに変わりはありません。ただ、分析の見え方が違うというだけです。

資本集約型産業

資本集約型産業の場合、資産がどれだけの付加価値を生み出しているのかを中心に分析をするため、生産性分析は次の手順で行います。

  • ①労働生産性の分析
  • ②資産装備率と資産生産性の分析
  • ③資産回転率の分析と利ざや率

まず始めに、労働生産性を分析します。労働生産性が高いかどうかを評価します。

次に、労働生産性の高さや低さの原因として、資本装備率と資本回転率を見ます。従業員1人当りでどれだけの資産を所有し、その資産でどれだけの付加価値を生み出しているかを評価します。従業員1人当りが有する資産が多く、その資産で多くの付加価値を生み出していれば、労働生産性は高くなります。

最後に、資産が生み出す利益が、資産の効率性によるものか、利ざやによるものかを評価します。資産を効率よく活用して多くの売上を上げ、その売上で多くの利益を稼ぎ出せば資産生産性は高くなります。

そして、これら3段階の分析を通じて、生産性の問題の原因を明らかにして、改善策を打っていきます。例として、次のような打つ手が考えられます。

  • 資産装備率の改善:機械化、省人化など
  • 利ざや率の改善:原材料費のムダの削減、外注の活用、業務工程の見直しなど
  • 資産回転率の改善:資産の操業度を上げる、遊休資産などの売却、材料費など在庫管理など

労働集約型産業

労働集約型産業の場合、従業員がどれだけの付加価値を生み出しているのかを中心に分析をするため、生産性分析は次の手順で行います。

  • ①労働生産性の分析
  • ②従業員1人当りの売上高と利ざや率の分析
  • ③資産装備率と資産回転率の分析

まず始めに、労働生産性を分析します。労働生産性が高いかどうかを評価します。

次に、労働生産性の高さや低さの原因として、従業員1人当りの売上高と利ざや率を見ます。従業員1人当りでどれだけの売上を稼ぎ、その売上でどれだけの付加価値を生み出しているかを評価します。従業員1人当りの売上が多く、その売上が多くの付加価値を生み出していれば、労働生産性は高くなります。

最後に、従業員1人当りが稼ぎ出す売上が、資産装備率によるものか、資産の効率性によるものかを評価します。従業員1人当りが有する資産が多く、その資産を効率よく活用して多くの売上を上げを稼ぎ出せば資産生産性は高くなります。

そして、これら3段階の分析を通じて、生産性の問題の原因を明らかにして、改善策を打っていきます。例として、次のような打つ手が考えられます。

  • 利ざや率の改善:商品の仕入単価の見直し、商品構成の見直しなど
  • 資産装備率の改善:作業を効率化するパソコンなどの導入、店舗内装の見直しなど
  • 資産回転率の改善:商品などの在庫管理、債権の回収強化、不良債権の切捨てなど
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