インタレスト・カバレッジ・レシオとは

インタレスト・カバレッジ・レシオとは、企業の借入金等の利息の支払い能力をみる比率です。支払利息(インタレスト)をカバーする(カバレッジ)倍率(レシオ)という意味です。
借入金等の利息の支払は、本業の儲けである営業利益と、副業である受取利息及び配当金から支払われます。そこで、支払利息に対して、営業利益に受取利息と受取配当金を足した利益(事業利益)がどれだけの比率にあるかを見ます。この比率が高いほど、支払利息を支払う支払能力が高いということとなります。
インタレスト・カバレッジ・レシオの計算は次の算式で計算されます。

  •  (営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息=◯◯倍

インタレスト・カバレッジ・レシオの適正な比率

インタレスト・カバレッジ・レシオの適正な比率は、2倍以上とされます。つまり、営業利益に受取利息と受取配当金を足した利益(事業利益)が支払利息の2倍以上あればいいということです。例えば、年間の支払利息が24万円ですと、事業利益は48万円あればいいということです。
ただし、借入金の返済も含めての適正な事業利益となりますと、企業の借入金の返済額などにより、適正な比率は異なってきます。借入金返済は、事業利益からされます。そのため適正な事業利益は、支払利息、法人税等、そして借入金返済ができる金額である必要があるのです。
インタレスト・カバレッジ・レシオの適正な比率、つまり、借入金返済ができる指標となる比率は、次の算式で計算されます。

  •  (借入金÷0.7+支払利息)÷支払利息=◯◯倍

例えば、年間の受取利息及び配当金は2万円、支払利息が24万円、借入金の返済額が120万円だとします。そうしますと、インタレスト・カバレッジ・レシオの適正な比率は次のようになります。

  •  (120万円÷0.7+24万円)÷24万円=8.142857倍

この比率が正しいかどうか検証してみます。
まず、借入金を0.7で割り戻しているのは、借入金返済に必要な経常利益を求めるためです。ここでは、法人税等の実効税率を0.3とします。借入金を0.7で割り戻した金額は、1,714,286円となります。この金額が借入金返済に必要な経常利益となります。検算しますと、次のようになります。

  • 経常利益     1,714,286円
  • 法人税等        514,285円
  • 税引後当期利益  1,200,000円
  • 借入金返済額   1,200,000円

後は、適正な事業利益、つまり、営業利益+受取利息+受取配当金を求めるだけです。経常利益は、適正な事業利益から支払利息をマイナスして求めた金額です。ですから、経常利益に支払利息をプラスすれば、適正な事業利益が求められます。そうしますと、適正な事業利益は、120万円÷0.7+24万円=1,954,286円となります。さらに、適正な営業利益は、1,954,286円-20,000円=1,934,286円、となります。

検算しますと、次のようになります。

  • 営業利益             1,934,286円
  • 受取利息・配当金    20,000円
  • 事業利益     1,954,286円
  • 支払利息      240,000円
  • 経常利益     1,714,286円

インタレスト・カバレッジ・レシオは、企業の借入金等の利息の支払利息を見る指標です。同時に、計算方法に工夫をすることで、借入金等の元本を含めた支払能力を見ることも可能となるのです。

補足

なお、補足ですが、適正なインタレスト・カバレッジ・レシオを求める算式は、以下の算式の展開で求めています。
まず初めに、借入金が返済できる経常利益を求めます。

  •  経常利益-法人税等-借入金返済額≧0
  •  経常利益-経常利益☓30%-借入金返済額≧0
  •  経常利益☓0.7-借入金返済額≧0
  •  経常利益≧借入金÷0.7

次に、その求めた経常利益から、借入金が返済できる事業利益を求めます。この事業利益が、インタレスト・カバレッジ・レシオの分子となります。

  •  借入金÷0.7+支払利息=適正な事業利益

後は、適正な事業利益を支払利息で割れば、適正なインタレスト・カバレッジ・レシオが計算できます。

  •  借入金÷0.7+支払利息÷支払利息

(注)
経常利益=営業利益+受取利息+受取配当金-支払利息
法人税等の実効税率は30%

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そのため、専門用語はできるだけ避け、また、内容も簡略化しています。
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