事業の売上構造の把握
事業の売上の構造について、顧客との取引関係を中心に把握していきます。企業が収益である売上を得るのは、顧客からの商品・サービス代金です。そのため、顧客との取引関係を把握することが、自社の収益パターンを把握することにつながります。具体的には、以下の内容について把握していきます。
- ビジネスパターン
- 顧客の購買の特徴
- 顧客である条件
- 自社商品の特徴
- 売上が上がるための条件
- 売上の構造（クロス集計、売上5原則、販売量と販売数量）
ビジネスパターン
まずは、顧客とのビジネスパターンを確認します。ビジネスパターンとは、どのように商品・サービスを提供し、どのようにその対価をいただくかのパターンをいいます。例えば、小売りモデルとは、商品を仕入れて顧客に売り切るパターンとなります。消耗品モデルとは、商品そのものは安く販売し、その後の発生する消耗品販売で稼ぐパターンとなります。
ビジネスパターンを把握する理由は、ビジネスパターンを変えて商売をする可能性を検討するためです。自社のビジネスパターンは業界の常識であり、自明のものとして疑うことが少なくありません。しかし、自社のビジネスパターンは数あるパターンの一つにすぎず、他のビジネスパターンを採用、考案することで、新たなビジネスチャンスが生まれ得る可能性が出てきます。例えば、マイクロソフトオフィスはソフトの売り切り型でしたが、現在は、オフィス365として、毎月のレンタル型に変えています。ビジネスパターンを変えることで、売り切り型の販売リスクを、毎月の安定収入に変えたビジネスに変えたといえます。
顧客の購買の特徴
顧客の購買の特徴として、次の2点を把握します。
- 購買力（現状の購買人口、将来の購買人口など）
- 購買基準
- 所有資源と制約条件
購買力
購買力とは、顧客が商品を購入することができる能力をいいます。例えば、顧客が小売店であるならば、小売店の販売店舗数と規模により、商品の購買量が変わります。中小零細企業を顧客とするならば、新規開業件数よりも廃業件数が多い現状において、顧客の購買人口は減少傾向にあるといえます。
顧客の購買力を把握する理由は、自社の事業の将来性を予想するためです。現状の顧客だけでは自社の事業を維持できなくなるというのであれば、新たな顧客やチャネルの開拓、新たな商品・サービス開発など、新市場の開拓を検討することが必要となります。
購買基準
購買基準とは、顧客が商品を買うにあたり、どういう選択基準で決めていくかをいいます。また、商品を買うまでの時間もいいます。例えば、ある量販店が顧客である場合、値段、納品の確実性、支払サイト、品質、という順番で検討するのであれば、その選択基準の順番で自社商品・サービスを選んでいただくことが課題となります。
購買基準を把握する理由は、顧客の選択基準に合わせた商品・サービスづくり、販促などの営業活動に影響を与えるからです。値段で足切りにされるのであれば、値段設定で自社を選んでいただくための商品のコストづくりが重要となります。また、商品の購入にかかる時間により、自社が営業などの販促活動を始め、売上が上がるまでの時間が予測でき、資金繰りなどの検討も必要となります。
所有資源と制約条件
所有資源とは、顧客が所有する資金、時間、空間、エネルギーなどをいいます。制約条件とは、その所有資源によって受ける制約をいいます。例えば、顧客が所有する倉庫や賃貸できる倉庫の面積が狭ければ、商品の仕入れる量について制約を受けます。
所有資源と制約条件とを把握する理由は、顧客がどのような商品を、どれだけ買うかなどに影響を与えるからです。自社が季節商品を販売しているならば、顧客の倉庫から、前の季節商品がなくならないと販売できません。倉庫にある商品がいつ捌けるかにより、資金繰りなどの検討も必要となります。
顧客である条件
顧客である条件とは、自社が事業を継続していく上で、自社が売上を上げることができる顧客を定義することです。顧客である条件に合致しない場合、何らかの理由で、自社の事業が展開できない顧客であり、事業の在り方を変える必要もでてきます。
顧客である条件として、次のような条件が考えられます。
- 消費者か企業か
- 見込み販売か売約販売か
- 自社の取引規模に合っているか（ロット数、1か月の納期遅れに自社の資金が耐えられるかなど）
- 資金サイト（顧客の入金サイトと支払サイトとの関連で、運転資金が回せるか）
- 新規顧客がいる場所にアクセスする方法があるかどうか
- 新規顧客の開拓コスト（システム費、検品費、倉庫費など）に自社の資金力で対応できるか
お気軽にお問い合わせください。03-5879-2814受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]
お気軽にお問い合わせください