2つの次元での事業活動

事業活動分析とは、次の分析をいいます。

  • 顧客の立場に立ってみた場合の自社の事業活動の意義
  • 自社の事業活動で成果を出す仕組みづくり

顧客体験での事業活動

自社は様々な活動をしています。その活動を顧客の立場に立って見直します。佐藤義典氏が提唱しています「増客設計図」の作成をお勧めします。詳細は氏の著作に譲りますが、ここで簡単に説明(私的な解釈)します。

顧客が自社商品を知って、買って、利用するには、顧客と自社の事業活動とに接点が必要です。顧客との接点がなければ、顧客が広告や口コミなどの体験がなければ、自社を知ることはありません。

顧客が商品やサービスを買って利用するには、その商品やサービスの存在を知り、興味を持ち、店に来店するなどの行動をし、他の商品やサービスと比較し、自社商品やサービスを選択し、利用し、愛情を持つ、という過程が必要となります。このようなココロの流れをマインドフローといいます。

重要なのは、顧客の立場に立って、顧客が体験する広告やクーポン、売り場の環境や店員の接待、商品やサービスのウリ文句などで、顧客のマインドフローを通過させて、自社のファンになってもらうことです。それが、顧客の立場に立ってみた場合の自社の事業活動の意義、となります。

自社の様々な事業活動が、顧客の体験においてどう感じられ、マインドフローのどの関門を通過する役割を担っているかを体系的にとらえていきます。そして、問題があるマインドフローの関門について、改善策を打っていきます。

成果を出す事業活動の仕組み

顧客体験での自社の事業活動で顧客のマインドフローの流れ、つまり自社商品やサービスを購買し利用してくれるまでの流れができましたら、そのような事業活動を支える仕組みづくりが重要となります。つまり、顧客を終着点として、顧客体験において自社を選んでいただくために、売り物づくりや売り場づくり、売り方づくりというプロセスです。どんなに顧客体験での自社の打つ手を設計しても、実際に行動が伴わなければ、意味がありません。

そして、このような事業活動を支える仕組みは、利益モデルでみた事業システムです。利益モデルでは、事業システムの収益とコストという経済的側面を中心に見ていましたが、ここでは、最適な顧客体験を提供する活動を中心にみていくことになります。

事業システムは、顧客体験において、顧客が競合ではなく自社を選ぶ理由をつくるための仕組みです。その事業システムについては、伊丹敬之氏の理論を参考に、次の3つのレベルでの仕組みづくりを考えます。

  • 環境や外的条件に適応するレベル
  • 環境や外的条件を変えていくレベル
  • 波及効果が生まれるレベル

第一に考えるべきことは、有効性です。顧客が自社を選ぶ理由、例えば、価格や利便性での差別化や、品質や技術での差別化、または顧客カスタマイズでの差別化ができる仕組みであることが重要となります。さらに、技術や資源などが有効活用されているかどうかです。組織としては、一体化して、ベクトルを合わせて業務に取り組んでいるかどうかです。

第二に考えるべきことは、効率性です。その事業システムが効率よく、そして競合にマネされにくいものかどうかが重要となります。無駄なく、全体最適化されたシステムとして効率性が高くなればなるほど、コストは削減され、事業のスピードは速くなります。また、現場レベルでの工夫の積み重ねや試行錯誤などの実験が随時行われ、事業システムを進化させていけば、競合はマネできなくなります。さらに、技術や資源などが効率的に蓄積されているかどうかです。組織としては、戦略に勢いがあるかどうかです。

第三に考えるべきことは、波及効果です。将来の資源蓄積という波及効果があるかどうかが重要となります。事業システムそのものが様々な多重利用、あるいは使い回しが可能なため波及効果が生まれます。事業システムにより企業側、顧客側に様々な蓄積が生まれ、あるいは事業上の関係が生まれ、それが需要の増加や事業の拡大の契機となり波及効果が生まれます。技術や資源に波及効果が生まれ、それらを利用した戦略が生まれたり、あえて、資源の裏付けのない戦略をとることで、欠けている資源を蓄積させたりします。組織としては、現状に甘んじることがなく、前向きでやや破壊的な緊張があるかどうかです。

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