経営戦略立案シナリオ
書名 経営戦略立案シナリオ
著者 佐藤 義典
出版社 かんき出版
出版年2007年5月21日 第1刷発行
目次
1: はじめに
2: 要約
3: 構成
はじめに
経営戦略といえば、まずお勧めしたいのが、佐藤義典氏の著作やメールマガジンなどです。
佐藤氏は経営戦略を考えるツールとして、戦略BASICSをはじめ、マインドフロー、売上5原則、プロダクトフローなどのツールを考案されています。
本書は、これらツールのうち、戦略をつくる中核的なツールである戦略BASICSについて書かれたものです。本書そのもの(他の著作もそうです)が非常にわかりやすいので、ぜひご一読をお勧めします。
要約
本書では、経営戦略をつくるツールとして、戦略BASICSを紹介しています。戦略BASICSとは本書の著者である佐藤氏が考案されたツールです。戦略BASICSは経営戦略の5つの要素を統合するツールであり、顧客視点に立ったツールです。
戦略BASICSは経営戦略の5つの要素を統合するツールです。著者によれば、経営戦略は大きく5つの要素に分けられます。その5つの要素とは、戦場型、独自資源型、差別化型、顧客型、メッセージ型の5つです。
- 戦場型とは、自社が勝てる戦場・市場を選ぶという戦略です。
- 独自資源型とは、他社に真似できない資源を蓄積する戦略です。
- 差別化型とは、強みのある優れた商品、サービスを提供する戦略です。
- 顧客型とは、顧客ニーズに応える戦略です。
- メッセージ型とは、魅力的な売り文句による戦略です。
従来の戦略論では、これら5つの要素のいずれかに偏ったものですが、戦略BASICSはこれら5つの要素をもれなく考え、5つの要素を統合するツールです。
そのため、戦略BASICSで経営戦略を考えることで、実戦的な「売れる」戦略がつくれることになります。
『この5つを徹底的に一貫させていけば、売れる確率は飛躍的に高まる。なぜかといえば、「戦いやすい戦場で、独自資源を活かして、差別化された製品を、ターゲット顧客に対して、わかりやすいように伝えること」ができるからだ。』(本書P28)
戦略BASICSは顧客視点に立ったツールです。
まず、戦場と競合は顧客が商品やサービスを購入する際の選択肢として、顧客が決めるものです。
強みは、顧客が選択肢とした中で、顧客が評価する差別化された価値です。
独自資源は、その顧客が評価する価値を支えるものです。つまり、強みも顧客が決め、独自資源も間接的に顧客が決めることになります。
そしてメッセージも顧客に伝わって初めて、顧客に商品やサービスの存在が知られ、その価値を評価されるのです。
このように、戦略BASICSは顧客の視点から経営戦略を考えるツールです。
ちなみに、戦略BASICSのBはBattlefieldの戦場、AはAssetの独自資源、SはStrengthの強み、CはCustomerの顧客、SはSelling Messageの売り文句、と5つの要素の頭文字をとったものであり、戦略の基礎(BASICS)となるものです。
構成
本書は全部で6つのパートに分かれています。6つのパートは次のとおりです。
「はじめに」
経営戦略はコンサルタントや経営企画部の専売特許ではなく、経営者が自ら戦略を考え、実行し、経営をしていくためのものであると書かれています。
そして、未来を変えるためには、戦略を変えていこうとしています。
STEP1
戦略と戦術、戦略の5つの要素(戦場、独自資源、強み、顧客、メッセージ)、顧客視点で捉え直した戦略について書かれています。
STEP2
戦略の5つの要素の一つである「戦場・競合」について書かれています。企業が戦う「戦場」は顧客が決めた商品やサービスの選択肢の集合であり、その選択肢として選ばれた競合と戦うことになります。
STEP3
戦略の5つの要素の一つである「独自資源と強み」について書かれています。企業は、顧客が決めた戦場で競合と戦うことになりますが、その競合に対して強みを活かして差別化する必要があります。
差別化の方法は、手軽軸、商品軸、密着軸の3つの軸があり、それぞれの軸には2つのパターンがあります。つまり、6つのパターンの差別化戦略があります。
また、競合との差別化は、独自資源(その企業が持っている独自の資源)に基づかなければ、競合に真似されてしまいます。そのため、長期的な競合優位を持つためには、独自資源の育成・蓄積が重要となります。
STEP4
戦略の5つの要素の一つである「顧客」について書かれています。顧客が決めた戦場において、競合と差別化を図りますが、その差別化は顧客が求めている価値と合っていなければいけません。
そのため、自社の差別化を評価してくれる顧客を選択する必要があります。
STEP5
戦略の5つの要素の一つである「メッセージ」について書かれています。企業は顧客をニーズで分けて、自社の強みを評価してくれる顧客に狙いをつけます。ただ、戦略を立てただけでは顧客に気づかれませんので、その戦略を伝えるメッセージが必要となります。
戦略は、顧客にメッセージとして伝えて、そして顧客に伝わって初めて効果があがるのです。
STEP6
戦略BASICS実践例などが書かれています。